おはようございます。今朝は朝からどんよりと曇った天気でした。
コロちゃんは、ポコポコとワンコと歩きながら、「今日の洗濯物は、外に干せないから駐車場の屋根の下に干そうかなー」とつぶやきながら散歩をしてきました。
どんよりと曇っていても、ムシムシとむし暑いんですよね。早く涼しい秋が来ないかなーと願っているコロちゃんでした。
今日は、日本の「ジニ係数」が発表になったことをポチポチします。
1.「所得再配分調査」の発表
先日8月22日に、厚生労働省は2021年の「所得再配分調査」を発表しました。この調査は、「世帯所得の格差」を調査するもので、概ね3年ごとに実施されています。
今回の調査はコロナ禍の影響で、前回調査の平成29年(2017年)より1年遅れの2021年に行なわれました。
その調査結果が、冒頭で書きましたように8月22日に発表になったのです。
調査対象は、「国民生活基礎調査」での単位区から、無作為抽出された500単位区の全ての世帯員となっています。
この「所得再配分調査」とは、「日本社会の格差」を調査するものです。
この発表を読めば、日本社会の「格差の現状」がわかるのです。
「格差」を調査するためには「ジニ係数」を用います。
2.「ジニ係数」とは?
その「ジニ係数」とは、どのようなものなのでしょうか。
下記の引用をご覧ください。
「ジニ係数」より
「ジニ係数とは主に社会における所得の不平等さを測る指標である。」
「0から1で表され、各人の所得が均一で格差が全くない状態を0、たった一人が全ての所得を独占している状態を1とする。」
「ローレンツ曲線をもとに、1912年にイタリアの統計学者、コッラド・ジニによって考案された」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%8B%E4%BF%82%E6%95%B0
ウィキペディア (Wikipedia): フリー百科事典:「ジニ係数」 最終更新 2023年8月11日 (金) 13:56
上記の引用のとおり、格差が全くない状態を「0」、たった一人が所得を全部独占している状態を「1」で表します。
だいたい0.3以上は、「格差が大きい」とされ、0.4を超えると「社会騒乱」の警戒ライン、0.6を超えると「革命」が起きると言われることもあるそうです。
その数字を頭に入れて、今回の厚生労働省の「所得再配分調査」を見てみましょう。
3.今回の発表内容 「ジワリと悪化」
今回発表となった「所得再配分調査報告書」の「所得再配分ジニ係数の変化」を見てみましょう。
上記で書きましたように「0.3以上は格差が大きい」とされています。
①「ジニ係数」の推移
下記のグラフをご覧ください。
「厚生労働省 所得再配分調査報告書」より
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/96-1/R03hou.pdf
出典:厚生労働省 令和3年 所得再配分調査報告書 所得再配分によるジニ係数の変化 より(8月23日利用)
上記は「ジニ係数の変化」の推移ですが、一番「右側の棒グラフ」が今回発表になった令和3年(2021年)の「格差の状況」です。
見ると、「当初所得0.5700」が、再配分後に「0.3813」に下がっています。
この発表の本文では「所得再配分によって所得の均等化が進んでいる」とポジティブな評価をしています。
しかし、報道では「再配分による改善度が0.4%低下」したと、批判的に伝えていますね。
そもそも「ジニ係数」が0.3以上は「格差が大きい」とされるのですから、日本は「格差が大きい」国なのです。
②「再配分」による世帯分布の変化
次に「所得再配分による所得階級別の世帯分布の変化」を見てみましょう。
下記のグラフをご覧ください。
「厚生労働省 所得再配分調査報告書」より
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/96-1/R03hou.pdf
出典:厚生労働省 令和3年 所得再配分調査報告書 所得再配分による所得階級別の世帯数の変化 より(8月23日利用)
上記のグラフは、「当初所得(白抜き棒グラフ)の世帯数」と、「再配分所得(黒棒グラフ)の世帯数」の「所得階級別」の一覧です。
両端をご注目ください。左端が「貧乏世帯(26.4%)」、右端が「金持ち世帯(10.3%)です。
一番左の「貧乏世帯」では、「当初所得(白抜き棒グラフ)の世帯数26.4%」が、「再配分」後では、「再配分所得(黒棒グラフ)の世帯数0.6%」に低下しています。
一番右側の「金持ち世帯」では、「当初所得(白抜き棒グラフ)の世帯数10.3%」が、「再配分後」には、「再配分所得(黒棒グラフ)の世帯数8.4%」に低下しています。
この発表の本文では、以下の様に書いています。
「所得再配分によって、100万未満と1000万以上の所得階級の世帯の割合が減少し、100万以上800万未満の世帯の割合が増加した」
「所得再配分後の世帯分布は、当初所得分布より中央に集中している」
つまりこの報告書は、日本の「再配分機能」は有効に働いているとポジティブに発表しているのです。
4.ジニ係数の「再配分」とは?
ジニ係数でいう「再配分所得」とは、「当初所得」から、税金や社会保険料を差し引き、社会保障給付を加えたものになります。
むき出しの「資本主義社会」では、格差がどんどん進行して社会が「不安定」になる歴史を繰り返してきました。
その対策として、国家は広く税金を徴収し、年金や医療保険や介護保険などの社会保険を整備して、国民の「所得の格差」が大きくなりすぎないようにしています。
その「再配分」がうまく行っていれば「ジニ係数」は低く出てきますし、「再配分」が機能していなければ「ジニ係数」は高くなります。
高い「ジニ係数」は、「不安定な社会」の警告なのです。
もう一度上記で書いてある「ジニ係数」が教えてくれる指標を見てみましょう。
「だいたい0.3以上は、格差が大きいとされ、0.4を超えると社会騒乱の警戒ライン、0.6を超えると革命が起きると言われることもあるそうです。」
5.世界各国の「ジニ係数」
それでは、上記の内容を頭において、世界の主要国の「ジニ係数」を見てみましょう。
「厚生労働省 OECD主要国のジニ係数の推移」より
https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/17/backdata/01-01-03-01.html
出典:厚生労働省 平成29年版 厚生労働白書ー社会保障と経済成長ー 図表1-3-1 OECD主要国のジニ係数の推移より(8月23日利用)
上記のグラフは、2017年(平成29年)の「OECD主要国」の「ジニ係数」の推移です。
ちょっとごちゃごちゃして見にくいですが、日本は「格差が大きい(ジニ係数が大きい)」方の、上から3番目の国です。
日本より格差が大きい(ジニ係数が大きい)国は「アメリカ」と「イギリス」しかありません。
あの「大英帝国」が、日本よりも格差が大きいんですよ。ちょっと意外でしょう?
そして、日本より格差が小さい国として、「イタリア」「カナダ」「ドイツ」「オランダ」「スウェーデン」「フィンランド」「デンマーク」があります。
(格差が大きい方から並べています)
「ドイツ」以下の4か国は、「ジニ係数」が0.3を下回っていますので、「格差が小さい」国々と言えます。
やはり、北欧諸国は「格差が小さい国」」だと確認できますね。
このように、OECD主要国の「ジニ係数」を比較してみると、日本はこれらの国と比べると「格差が大きい国」方の国になります。
6.日本で「格差」は拡大していないのか?
冒頭で取り上げました、8月22日に厚生労働省が発表した「所得再配分調査報告書」の内容の本文中には、「日本で格差が拡大していない」かのようなポジティブな評価が記載されていました。
下記に、その内容を記載します。
○「所得再配分によって所得の均等化が進んでいる」
○「所得再配分によって、100万未満と1000万以上の所得階級の世帯の割合が減少し、100万以上800万未満の世帯の割合が増加した」
確かに、グラフを見るとそういえないことはないように見えます。
もう一度、そのグラフを添付します。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/96-1/R03hou.pdf
出典:厚生労働省 令和3年 所得再配分調査報告書 所得再配分によるジニ係数の変化 より(8月23日利用)
上記のグラフの推移をみると平成17年(2005年)以降の「ジニ係数」は、緩やかに低下してから令和3年(2021年)に再び上昇しているように見えます。
「2005年(平成17年)0.3873~2017年(平成29年)0.3721~2021年(令和3年)0.3813」
しかし、もう少し「ジニ係数」の長期推移を見てみましょう。
下記のグラフをご覧ください。
「内閣府 家計から見た経済的格差」より
https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je06/06-3-3-01z.html
出典:内閣府 平成18年度年次経済財政報告 家計から見た経済的格差 第3-3-1図 各種統計によるジニ係数 より(8月23日利用)
上記のグラフには、1979~2003年の「ジニ係数」が載っています。「ジニ係数」はオレンジの△の線です。
今回の厚生労働省の発表した一つ上のグラフは、2005年(平成17年)~2021年(令和3年)ですから、ちょうどこのグラフの後に繋がる年代構成になっています。
こちらの古い方の1979年の「ジニ係数」を見ると、0.3をわずかに超える程度の数値だったんですよね。この頃の日本は「格差」が小さい時代だったんです。
コロちゃんは、別に懐古趣味を持っているわけではありませんが、ジワジワと「格差が広がっている最近の日本」より、過去(1979年)の「今よりは平等な日本」の方がより良い社会だったと思っています。
7.中国の「ジニ係数」は0.4以上
コロちゃんは、社会の「格差」についていつも興味を持ってみています。
コロちゃんの「清貧ライフ」は、間違いなく社会の底辺に位置しています。
そのコロちゃんの生活が、社会全体のどのくらい低い位置にあるのかを、いつも好奇心を持ってポチポチしているのです。
その中で、諸外国の「ジニ係数」を見ている時に、お隣の「中国」の「格差」がどうなっているのかと思いついてポチポチしてみました。
そうしましたら、ちょっと驚きましたね。下記のグラフをご覧ください。
「内閣府 主要地域の経済動向と構造変化」より
https://www5.cao.go.jp/j-j/sekai_chouryuu/sh18-01/s1_18_2_4.html
出典:内閣府 経済財政白書 世界経済の潮流等 主要地域の経済動向と構造変化 第4節 アジア経済 より(8月23日利用)
なんと、「中国」の「ジニ係数」は、「社会騒乱」の警戒ラインである0.4はとっくに超えている数値なのです。
中国は、「社会的平等」を目指している「社会主義国」です。そして、その平等をイデオロギーに掲げている「共産党一党支配」の国です。
しかし、その「経済的指標」をみると、日本や西欧の主要国をはるかに超える「格差が大きい国」なのです。
まあ、まだ「発展途上国」としての一面も持っていますから、農村と都市の格差が大きいなどの事情はあるのでしょう。
しかし、国内にこれだけの「格差」が存在すれば、「強権的な権威主義政権」でなくては、社会の安定性は到底保てないだろうなと、コロちゃんは思いました。
8.日本の「格差」を縮小して欲しい
まあ、この中国の話しは「余話」です。
今回の厚生労働省の「ジニ係数」の発表内容は、基本的に2005年(平成17年)以降横ばいで推移しています。
しかし、今回の調査結果は前回の平成29年(2017年)調査より、ジワリと上昇しています。
そして、今の日本社会には「非正規雇用」や「高齢の貧困」などの、格差が拡大するような多くの要素が噴出してきています。
言うまでもなく、「資本主義社会」においてはデフォルトでは何もしなくとも「格差が拡大」するのです。
それを国家が強権で「再配分」をしなければ、社会の「不安定化」は進行するばかりです。
最近の岸田政権では、「新しいNISA」や「少子化対策所得制限撤廃」などの、「格差」が拡大すると思われる政策が散見されます。
是非「格差を縮小する政策」も、合わせて実施してもらいたいと、コロちゃんは思っています。
そして、日本社会がいつまでも「安定性の高い平和な社会」であって欲しいと考えています。
コロちゃんは、社会・経済・読書が好きなおじいさんです。
このブログはコロちゃんの完全な私見です。内容に間違いがあったらゴメンなさい。コロちゃんは豆腐メンタルですので、読んでお気に障りましたらご容赦お願いします(^_^.)
おしまい。
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